【Cloud】大手クラウドサービスの IaaS 運用コストを比較してみた
- はじめに
- 比較対象
- 各クラウドサービスの運用コスト
- おわりに
はじめに
有名どころのクラウドサービスの IaaS の運用コストを調べる機会があったので、費用面から見た各社の特徴をまとめてみました。
ちなみに、僕は開発でクラウドサービスを利用したことはあるものの、導入や構築などの経験は一切ありませんので、完全なる素人が調べた内容になっています。
間違っているところがあれば、コメントで指摘頂けると助かります (´ε`; )
良い意味で浅い内容に仕上がっていると思うので、これからクラウドサービスを利用したいと考えている方には丁度良い取っ掛かりになるかもしれません。
また、タイトルには "運用コストを比較" と書いていますが、利用する規模や頻度等によって金額が大きく異なるため、具体的な金額等は一切書いていません。
一通り各社の料金形態について把握したら、それぞれの公式サイトにある料金計算ツールを使用して金額を見積もってみましょう。 (丸投げ)
比較対象
今回の比較対象となる各社の IaaS はこちら。
- Amazon Web Services (AWS)
- Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2)
- Microsoft Azure
- Azure Virtual Machines
- Google Cloud
- Compute Engine
すべて 2021 年 6 月現在のデータでの比較となります。
え?それ IaaS なの?というつっこみは受け付けません。
各クラウドサービスの運用コスト
Amazon Web Service (AWS) - Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2)
AWS の料金については、こちらに詳しく記載されています。
以降は上記の公式ページからの引用と、僕の超訳まとめになります。
従量制料金
Amazon EC2 は使用した分だけ課金される従量制料金となっています。
必要に応じてスケールすることが容易なため柔軟で無駄の無い運用を行うことができますが、例えば Amazon EC2 を利用して定額制のサービスを展開する場合、使用時間やトラフィックを見誤った料金設定を行うと赤字になる可能性があるため注意が必要です。
Amazon EC2 の主な支払いのプランは以下の通りです。
オンデマンド
契約期間の縛りなどは無く、使用するインスタンス (Amazon EC2 上で稼働する仮想サーバ) の稼働時間に応じた料金を後払いします。
必要な規模の仮想サーバを必要なときに調達でき、料金も使用した分を後払いするため、無駄なコストや手間を省くことが可能です。
ただし、特に割引等は無いため、予め一定期間以上使用することが決まっていたり、必要なキャパシティが一定などの場合は、後述する割引有のプランがお勧めです。
スポットインスタンス
ざっくり言うと、 AWS 上の余った Amazon EC2 領域を格安で利用できるプランです。
Amazon EC2 の余り領域が無くなればインスタンスは中断されてしまうことになるので、停止しても問題が無い用途のインスタンスに限るか、その他のプランのインスタンスと組合せて使用することになります。
利用料金は需給状況によってリアルタイムに変化しますが、割引率は大きく設定されており、上手く運用できればオンデマンドの最大 90% OFF で Amazon EC2 を使用することができるため、運用コストの大幅な削減に繋がります。
リザーブドインスタンス (RI)
予め指定したインスタンスを 1 年または 3 年といった期間で契約し、そのインスタンスを使用する場合に限り、オンデマンドの料金から最大 75% OFF で利用することができます。
また、オンデマンドやスポットインスタンスと違い、料金を前払いすることで更に割引率を高めることも可能です。
デメリットとしては、契約期間中は使用しなくても料金が発生することになるため、必ず一定のコストがかかることになります。
一定のスペックで定常的な仮想サーバの稼働が見込まれる場合はオンデマンドと比較してメリットがありますが、稼働状況に波がある場合は結果的にオンデマンドよりも高額になってしまう可能性があります。
Savings Plans
リザーブドインスタンスが特定のインスタンスを一定期間使用するという契約なのに対し、 Savings Plans はインスタンス全体の一定期間の特定の使用量を契約するようなイメージです。
ちょっと分かりづらいですが、 1 年または 3 年の期間でどのくらい使用するかを前もって契約しておくことで、オンデマンドで使用した場合と比較して最大 72 % OFF の割引を受けることができます。
リザーブドインスタンスと違い、インスタンスを指定する必要が無く、 Amazon EC2 のインスタンス全体に対して割引が適用されるため、柔軟性のあるプランになっています。
デメリットは…うーん、特に無いように感じます。。
Microsoft Azure - Azure Virtual Machines
Microsoft Azure の料金についてはこちら。
以降は AWS と同様、公式ページからの引用と僕の超訳まとめです。
従量制料金
Azure Virtual Machines も Amazon EC2 と同様に、従量課金制の料金形態となっています。
割引についても Amazon EC2 と概ね同様ですが、 Microsoft Azure には Windows Server や SQL Server といった Microsoft 製品を使用する場合に適用される割引があるなど、 Microsoft ならではの強みが存在します。
Azure ハイブリッド特典 (Azure Hybrid Benefit)
もし既に Windows Server や SQL Server などのライセンス、またはサブスクリプション契約を有している場合、それを Azure Virtual Machines へ適用することができます。
この特典を後述する Azure Reserved VM instances などと組み合わせれば、通常の従量料金と比較して最大 85% OFF のコスト削減が可能になります。
オンプレミスの Windows Server からの移行や余っているライセンスがある場合は、他のクラウドサービスと比べて資源を有効活用できるため、現在 Microsoft 製品を主に使用しているなら Microsoft Azure を選択するメリットは大きくなります。
これこそ Microsoft ならではと言えますね。
Azure Spot Virtual Machines
これは Amazon EC2 のスポットインスタンスとほぼ同様のプランになります。
Amazon EC2 の場合は停止の 2 分前に通知が来ますが、こちらは 30 秒前の通知なので若干猶予が少ないです。
詳細は割愛します。 (決して該当の公式ページが翻訳されていなかったからではない)
Azure Reserved VM Instances
こちらも Amazon EC2 のリザーブドインスタンスとほぼ同様のプランですが、支払いは全額一括前払いか毎月の分割前払いになります。 (Amazon EC2 は前払い無しも選択できます)
また、 Amazon EC2 との違いの一つとして、契約時に決めていた利用期間やインスタンスの変更、途中解約による一部返金など、後からでも契約内容を変更することが可能という点が挙げられます。
Google Cloud - Compute Engine
Google Cloud の料金についてはこちら。
以降は AWS や Microsoft Azure 同様、公式ページからの引用と僕の超訳まとめになります。
従量制料金
Google Cloud の Compute Engine も、前述の 2 社と同様、従量課金制となっています。
後述する割引については Amazon EC2 や Microsoft Azure と比べて若干少なく感じますが、今回詳細まで調べてはいないものの、そもそもの通常料金が他社よりも安いとの情報がインターネット上で散見されました。
単純に同程度のインスタンスを使用したケースで比較すると Google Cloud の方が安いようなので、後述する割引を組み合わせれば、もしかしたら一番運用コストを安く抑えることができるのかもしれません。 (もちろん使用状況によると思います)
確定利用割引
これまで見てきた Amazon EC2 のリザーブドインスタンスや Microsoft Azure の Azure Reserved VM Instances と同様に、 1 年または 3 年間の利用契約をすることで、最大 57% OFF の割引を受けることができます。
途中でインスタンスのスペックを変更しても割引が適用されるので、稼働状況に合わせて柔軟にスケールすることが可能です。
継続利用割引
他社を含めたこれまでの割引と違い、こちらはインスタンスの実行時間が一定の割合を超過した際に自動で適用されるものになります。
この割引を適用させるための設定等は不要のため、つまりはたくさん使えば勝手に安くなってくれる長期優良割引みたいなものです。
ただし、前述の確定利用割引との併用はできないという点には注意が必要です。
おわりに
2021 年 6 月現在、様々なクラウドサービスが展開されているなとは思っていましたが、各社の料金形態だけでも非常に複雑なルールやプランが存在するということが分かりました。
さらに、今回取り上げた 3 社はそれぞれ数十から数百のクラウドサービスを展開しており、ちょっと調べた程度ではその全貌を知ることは不可能に近いです…
この他に Oracle Cloud や Alibaba Cloud といった他社クラウドサービスもそれぞれ独自のプランや強みを持っていて、これらの中から最適なクラウドサービスを見付けるのは至難の業です。
ただ、逆に考えればこれらすべてとは言わないまでも、いくつかのクラウドサービスに精通した知識や経験を有することは他のエンジニアとの差別化にも繋がり、より自分自身の市場価値の向上に寄与するなとも思いました。
これまであまりクラウドサービスを使用する機会は多くありませんでしたが、時代に取り残されないように、今後はもっとプライベートでも積極的にクラウドサービスを使っていきたいと思います。
なんてことを 2021 年の今頃言っているようでは、もうずいぶん出遅れてしまっているんでしょうけれど ( っ・∀・)≡⊃ ゚∀゚)・∵.